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「守る会賛同者からのメッセージ」

2006年2月28日    小日向住人の一人 畑村 洋太郎

“あの桜のトンネルが消えるって知ってる?”と犬の散歩仲間に尋ねられた。
“エッ!新大塚公園がなくなるの?”

 何も知らなかった僕はこうして中学生の数が減り、文京五中と七中とを廃止・統合して新しい中学を建設するために新大塚公園がなくなる計画を知ることになった。毎日犬の散歩に出掛ける公園がなくなるなんて考えもしなかった。僕は御茶の水女子大の付属小学校に入学した約60年前から、この辺りを通っているが、はじめは細かった桜が次第に大木になり、桜のトンネルになったこと、桜の黒い大枝と花の見事さ、散るときの花吹雪とじゅうたんの美しさはこれぞ我が街と美しさをたのしむのと同時に誇りにしてきた。

 中学生の数の減少に応じて学校を統廃合することの必要性は十分に分かるが、それにしても50年、半世紀をかけて作り上げてきたこんな立派で美しいものをそのときどきの必要性だけで消滅させてしまうとは余りに近視眼に過るのではあるまいか。私はたまたま発表した失敗についての本が注目されているが、その“失敗学”の観点から見ると、今回の新大塚公園の廃止に伴う“桜のトンネル”の消去は多分“天下の愚策”になるのではないかと思っている。最近になって日本橋の上を覆っている高速道路が本来の日本橋の景観を損い、都民、いや国民の持つイメージを余りに台なしにしているので高速道路を撤去しようと話が持ち上っている。高速道路は撤去しても地下に移すことができるだろうが、新大塚公園の桜は切ってしまったら二度と帰ってこないのである。仮に改めて作り直そうとすれば半世紀・二世代の永い時間が必要となる。

 美しい文京区を維持・発展させるには新しい中学は、今の五中か七中のいずれかに新しく作り直し、今の新大塚公園をそのまま保持しつづけることが現在、我々が行う最良の選択に思えてならない。区でこの計画を担当する部署・それを決定する教育委員会の方々などがこのような視点と周辺区民の希望を真摯に受け止め再考されることを願って止まない。

【畑村洋太郎氏のプロフィール】
畑村洋太郎氏はドアのトラブルからロケットのトラブルまで、航空機事故から列車事故まで、近代工学を失敗面から切り取る、新しくユニークな工学分野を開拓した工学博士で、東京大学名誉教授・工学院大学教授です。また、科学技術振興機構の「失敗知識データベース」作りの統括を務めるとともに、宇宙開発機構の事故調査委員(特別委員)も務めています。ベストセラーになった「失敗学のすすめ」(2000年、講談社)や「直観でわかる数学」(2004年岩波書店)他、多数の著作を発表されています。

小日向の桜に思いをよせて

2006年3月19日   林 弘正

空一面に広がり舞いあがる桜の花びらを追いかける幼子、ベンチに佇み静かに愛でる御年寄の方々、手を取り散歩する若者、様々な思いの中で迎える桜花の小日向の街並み。

音羽通りを登って右に折れる一本の道は、桜のトンネルとなる。新大塚公園側に10本、跡見側に12本、厚みを加えるように園内には10本、桜の精は、人々を見守り静かな感嘆の声を誘う。その先の小さな亀公園には大島桜や普賢象桜を含む4本の早咲きの桜が続き、更に道沿いに大きな枝振りが翼を広げ大日坂へと至る。

江戸の街並みを今猶とどめる小日向に多く見られたであろう桜は、時の移ろいとともに少なくなってゆく。庭に植え慈しんできた桜木に惜しみながらも別れを告げざるを得なかった人の思いに添い、その命を糸に染め佐賀錦に織りあげたという人間国宝古賀フミ氏の話が思い出される。 桜によせる様々な思いは、一人一人の胸中に秘められている。桜をめぐる感慨を幼子に伝え、情感豊な子に成長することを念じてやまない。

新大塚公園には四季折々の樹々の景色があり、集う人の姿がある。夏の強い日差しのなか、ボールを追いかける子ども、緑陰に休息する人、秋の木漏れ日を浴びながら語らいあう人、一面白銀の世界となった園内を駆け回る幼子、街の中にありいつでも誰でも足を運ぶことのできる憩いの空間として大切にしたい。この公園で命を育み私たちに癒しを与え続ける一つ一つの樹々との時空をかけがえのないパートナーとしてこれからも共有したい。

小日向のこの公園の緑の空間を幼子に、更には、幼子の幼子に語り継ぎたい。バトンを手渡すことを私たちの責務として。

挿頭(かざし)草のトンネルの下、夢見草の風雅に目覚めた若者として乱舞する花びらに包まれることを永遠に願う。 (注:挿頭(かざし)草(ぐさ)、夢見草ともに桜の異称)


【林 弘正氏のプロフィール】
林 弘正氏は刑事法の視点から児童虐待の問題に取組まれるとともに、被害者のカウンセリングにも関心を寄せられている島根大学大学院法務研究科教授です。『児童虐待 その現況と刑事法的介入』(2000年、成文堂)、『改正刑法假案成立過程の研究』(2003年、成文堂)、『児童虐待 問題解決への刑事法的アプローチ』(2006年5月刊行予定、成文堂)等多数の著作を発表されています。

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